研究課題/領域番号 |
07740247
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
服部 賢 東京大学, 物性研究所, 助手 (00222216)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / 電子励起 / 表面構造変化 / 光照射 |
研究概要 |
本研究の目的は、固体への光照射によって生じうる電子励起誘起原子移動を、特に固体表面において、直接に観察を試みることである。固体表面に注目する利点は、表面の原子サイズの凹凸が観察可能な走査トンネル顕微鏡(STM)が利用できる点である。 私は、現有の超高真空STM装置を用いて、手始めに、シリコン(111)表面への赤外光半導体レーザー(hw0.95eV、4mW)照射時における原子移動の有無を調べた。バルクシリコンのバンド・ギャップ・エネルギー(Eg1.11eV)よりも低い光子エネルギーを選んだ理由は二つある。一つは、バルク光吸収による光起電力効果をなくすため、もう一つは、バルクに対するこの透過光を試料の裏側から入射させ、試料表側の観察表面に照射することを可能にするため、である。 この系では、バンドギャップ中の表面電子準位が赤外光によって励起されることが、期待できる。 私は以下の手順で実験を行った。まず、レーザーを照射しながら、100Å×100Å程の領域のSTM画像を得、すぐにレーザーをオフにし、同様のSTM画像を得る。この操作を繰り返した。異なる試料バイアス電位においても同様に繰り返し測定した。熱ドリフトの影響があるため、連続したSTM像は部分的にしか重ならないが、重なっている領域について、レーザー照射に対する同一原子の位置の相対変化について調べた。 その結果、表面占有電子準位の凹凸を調べた場合、各原子の相対的な位置変化は観測されなかった。表面空電子準位については、表面テラス上の複数の原子が垂直方向に若干移動しているように観測された。また、統計数が少なく、具体的にどの条件の原子サイトが移動するのかについては不明である。しかしながら、その特定の原子に光が影響を与えていることが直接観察できた点は、本研究の成果である。 今後、さらに明確な実験を行うために、一つのSTM画像中でレーザーのオン、オフを繰り返し、同一原子の相対位置変化の比較が容易に行えるようにする予定である。
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