本年度はパワーアップした和周波発生によるピコ秒紫外レーザー光を励起光として、CuCl結晶の励起子共鳴付近で連続的に波長を変えながら、発光スペクトルの測定とストリークカメラによる飛行時間測定を行った。 発光スペクトルでは励起波長によって励起子発光のピーク位置がシフトする現象が見られたが、強度依存性は見られなかったので、ポラリトン分散の非線形変化によるものではなく励起位置による励起子ポラリトンの緩和経路の変化であると推定される。 飛行時間測定では、表面で反射したパルスと厚さ20μm程度の結晶を一往復してきたパルスのピーク間隔の時間差を測定した。励起強度に依存した分散の変化があれば、伝搬時間が変化することが予想されるが、励起強度一桁の変化の範囲で検出可能なピーク間隔の変化は見られなかった。 今回の励起強度は最大〜3MW/cm^2で(励起子共鳴での高反射率を考慮すればこの1/10以下)、この励起レベルではポラリトンの非線形変化の検出は難しいということが結論できる。チタンサファイアレーザーの二倍波を用いればこの〜200倍の励起強度が可能なので、今後行ってみる予定である。
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