研究概要 |
本研究では、ガラス中に分散した半導体微結晶中や、層状半導体中の2次元界面などを被測定物として、その評価と分光測定を行う走査型近視野顕微鏡の開発をおこなった。今年度に得られた成果は以下のとおりである。 1.走査型近視野顕微鏡の心臓部である。プローブヘッド駆動部(ピエゾステージ)の製作を行い、その性能の評価をおこなった。その結果、x,y方向はおよそ12μm、z方向にはおよそ7μm、の範囲を独立に移動させることができ、その走査精度がおよそ4nm程度のピエゾステージを作ることが出来た。 2.光学ステージやプリズム、レーザーなどの光学部品の整備を行い、上述のピエゾステージと市販のファイバープローブを組み合わせて、近視野顕微鏡を構成した。 3.ステージのコントロールや、データ取り込みをおこなうソフトウェアーを開発し、近視野顕微鏡としての基本動作を確認した。 4.近視野顕微鏡の性能の評価のため、光学プリズムの表面の2次元像を測定した。その結果、プリズムの仕様に対応した200nm程度の表面の凹凸が観測出来た。このことは、本装置のz方向の分解能が200nm以下であることを示している。 5.空間的に閉じ込められた励起子系の例として、ガラスマトリックス中に分散した半導体微結晶の試料を作成し、高エネルギー研究所のフォトンファクトリーのSORを用いたX線散乱により半導体微結晶のサイズを決定した。 今後、x,y方向の分解能の評価を行い、走査型近視野顕微鏡としての性能を押さえること、制御ソフトウェアー等を整備して、測定時間を短縮すること、また実際に走査型近視野顕微鏡を用いた分光を行っていくことを予定している。
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