研究概要 |
ホットウォール法を用いて、層状重金属ハライド半導体PbI_2,CdI_2の超格子を作成した。特に本年度は成長途中に中断時間を導入することで、界面揺らぎが1分子層程度の急峻な超格子界面が得られ、膜厚が28A(4層)までの超格子が得られた。作成された超格子の構造性についてはX線回折スペクトルのサテライトピークの観測により確認し、超格子のそれぞれの層の膜厚については、この回折スペクトルを解析することで得た。 種々の超格子の光吸収スペクトルを77Kで測定した結果、井戸層PbI_2の膜厚の減少とともにPbI_2/CdI_2超格子の励起子遷移エネルギー位置は高エネルギー移動するという量子閉じ込め効果に特徴的な変化を示した。電子・正孔が有限井戸に閉じ込められていると仮定した解析により実験結果はよく再現でき、また解析により、還元質量μ=0.14m_0(m_0は自由電子の質量)が得られた。これらの結果より作成したPbI_2/CdI_2超格子はtypeI量子井戸構造を形成することが結論される。 また、低温・超高圧印加装置を用いて、超格子の吸収スペクトルの圧力依存性を77Kで1.5GPaまでの圧力範囲で測定した結果、励起子遷移エネルギー位置の圧力係数はバルク試料のそれよりも小さな負の圧力係数を示した。また超格子試料の中ではPbI_2膜厚の薄い試料の方が小さな圧力係数を示した。この結果は圧力印加で井戸幅が減少させられることにより、量子井戸の離散準位の幅が増大することにより引き起こされることで説明される。 以上の研究成果は日本物理学会、応用物理学会等で報告し、論文についても投稿中である。
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