高度な電子・光機能性が期待される有機-無機化合物半導体のうち、(CH_3NH_3)_3Bi_2I_9半導体化合物に着目し、その光物性の研究を行った。まず、(CH_3NH_3)_3Bi_2I_9単結晶を水溶液成長法より、薄膜試料を真空蒸着法により作成した。それら試料の基礎光学スペクトルを可視域から紫外域の広いスペクトル領域に亘って測定した。その結果、2.5eV付近に室温でも安定な大きな束縛エネルギーを持った励起子の存在を明らかにした。蒸着薄膜試料の吸収スペクトルに見られるアニール効果に基づいて、その励起子の起源を議論した。またその吸収端の裾は、13Kから室温に至る広い温度領域で、ア-バック則に従うことが分かった。その詳細な解析から、この励起子系の励起子-格子相互作用が強いことを明らかにした。この結果は、すでに欧文雑誌に投稿している。現在、発光特性を明らかにするため発光スペクトルの測定を行うと共に、ハロゲンイオンの異なる有機-無機化合物半導体についての研究を計画している。
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