研究課題/領域番号 |
07740321
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河原林 透 東京大学, 物性研究所, 助手 (90251488)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | アンダーソン局在 / 相転移 / スピン-軌道相互作用 / フラクタル次元 / 二次元電子系 |
研究概要 |
乱れた電子系におけるもっとも典型的な相転移であるアンダーソン転移について統計力学的観点から研究を行った。特に、強いスピン-軌道相互作用のある2次元ランダム系において、転移点近傍および金属相におけるエネルギー準位や波動関数のフラクタル構造などを調べた。 本研究では、シュレ-ディンガー方程式を数値的に解くことにより、電子の拡散の様子を具体的に追い、波束の広がりや初期状態の波動関数との重なりの漸近的振る舞いを求めることにより、エネルギー準位のフラクタル構造を調べた。シュレ-ディンガー方程式を数値的に解く方法としては、指数演算子の高次分解の方法を用いた。この方法は、スピン-軌道相互作用を持つランダム系に対しても容易に応用でき、しかも、系を特徴づける時間反転に関する対称性を厳密に保存するという利点を持っている。 このような方法により、一辺の長さが最大1000サイト程度の系において数値計算を実行し、臨界領域および金属相において、エネルギー準位のフラクタル構造や拡散係数などを見積もることに成功した。その結果、金属相では、フラクタル構造は存在せず、波束の広がりや波動関数の初期状態との重なりは通常の拡散方程式から予想される結果と一致した。また、フラクタル構造の予想される臨界点では、波動関数のフラクタル次元を具体的に1.7程度と見積もることができた。この値は、他の数値計算による結果とも良く一致している。さらに、この値が、ランダムポテンシャルの分布など、模型のミクロな違いには依らないことも示すことができた。臨界点から金属相へのクロスオーバーの領域でも、拡散係数およびフラクタル次元を評価した。これらの結果は解析的な手法による結果と整合している。(Phys. Rev. B印刷中)
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