ハルデイン・シャストリー型スピン系に代表される1次元長距離相互作用をもつ可積分系の研究を行った。 1.一般に距離の逆二乗の相互作用をもつ系(Calogero-Sutherland系)の波動函数は超幾何型函数によってあらわされることが知られており、2次元共形場理論にあらわれるKnizhnik-Zamolodchikov(KZ)方程式と呼ばれる1次偏微分方程式と密接な関係がある。われわれはBabujianによって提唱された代数的なBethe仮設法に基づく方法によって三角函数型の一般的なKZ方程式の積分表示解を構成した。 2.Calogero-Sutherland系の解析にはDunkl演算子という微分差分演算子を用いるのが便利である。Yang-Baxter方程式、およびReflection方程式の無限次元表現をあたえることによって、古典ルート系に不随するDunkl演算子がきわめて簡単に与えられることを示した。さらに、三角函数型の場合の固有値を計算した。 3.ハルデイン・シャストリー型スピン系の重要な性質としてヤンギアン対称性をもつことがあげられる。われわれはmotifとよばれるヤンギアン不変な基底の表現がq-多項式の一種であるRogers-Szego多項式から得られることを示した。
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