研究概要 |
スピン軌道相互作用が強い、いわゆるsymplecticな系でのアンターソン転移を数値計算によって調べた。まず比較的大きな系のできる2次元系において固有値を数値対角化によって求め、転移点での準位間隔分布関数を計算した。この結果を解析的な計算による予想、及び量子ホール領域での数値計算の結果と比較し議論した。次に2次元における転移点での拡散を計算し、波動関数のフラクタル次元を1.68と評価した。これらの結果については論文で公表した。 こうして2次元系における振る舞いを明らかにした後、3次元系の計算を始めた。quarternionを用いたトランスファー行列の演算によりヤポノフ指数を計算し、これを無次元化した量が1変数スケーリングに従うことを明らかにした。この結果をもとに波動関数の局在長の発散を特徴づける臨界指数を求め、これが1.3程度であることを示した。こうしてorthogonal, unitary, symplecticすべてのユニバーサリティクラスで臨界指数が1.3程度であることがわかった。また転移点での準位統計、及びコンダクタンスの分布関数を求め、これがサイズに依らないユニバーサルなものであることを示した。この結果については投稿準備中である。 運動方程式の方法による3次元系での拡散の様子、及びフラクタル次元の決定は計画通りには進まず、今後の課題となった。
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