研究概要 |
1.超伝導重力計によって得られた、1994年6月ボリビア深発地震の記録を用いて、地球自由振動コア・モードの解析を行った。観測史上最大の深発地震であるこの地震は、地球の深部にエネルギーを持つような地球自由振動ノーマル・モードを強く励起しており、コア・モードが精度良く検出されることが期待された。データとしては、茨城県八郷町の東京大学理学部研究施設に設置されている超伝導重力計(GWR Instruments, TT70, s/n 011)の記録を用いた。データの解析には、存否スペクトル解析法を用いた。時間領域のウインドウおよび周波数領域のウインドウをたんねんに最適化し、時系列モデルの自由度の選択を適切に行うことによって、地球自由振動の多くのノーマル・モードが精度良く検出された。それらのうち、コア・モードと考えられる信号もいくつか検出された。これらの信号の減衰の程度は特に小さいということはなく、コア・モードはそれほどQが高くないということが確認された。また、この結果によって、超伝導重力系が長周期地震計としてすぐれた性能を有している可能性があらためて示された。 2.超伝導重力計の長周期地震計としての性能を最大限に開拓するための基礎実験として、超伝導重力計の機械的特性の測定を行った。測定は、東京大学海洋研究書および国立天文台の2台の超伝導重力計について行った。その結果、機械的なマス-スプリング系としての超伝導重力計の支持系について、4ないし5秒程度の固有周期が得られた。また、テスト・マスである超伝導球に対するダイビングはほぼ線形であり、その係数が非常に大きいことがわかった。
|