研究概要 |
様々な時間スケールで変動している地球磁場の成因である地磁気ダイナモのメカニズムを解明することを目標とする.回転球殻内で熱対流を生じている電磁流体中で,磁場及び速度場が時間的・空間的にどのように振る舞うかを調べるために,磁場の誘導方程式,流体の運動方程式,そして熱の輸送方程式を解く.流体が非圧縮であると仮定すると,磁場も速度場もポロイダル成分とトロイダル成分とに分解できる.今までは,これらのスカラー関数を球面調和関数及び三角関数に展開して問題を解いてきたが計算効率がよくなかった.そこで,本研究では,効率よく計算するためにメモリ分散型の並列コンピュータを使用し,並列処理を行なうことにした.計算を並列化するために,計算領域となる球殻でメッシュを切り,差分化して方程式を解くことにした.球極座標系(γ,θ,φ)では回転軸(θ=0及びθ=π)が極となってしまうが,ポロイダル場及びトロイダル場のスカラー関数を,軸対称成分と非軸対称成分とに分解することにより極での計算を容易にした. 本研究の申請後,本学に新たにスーパーコンピュータが導入され,オートタスキングによる並列処理が可能となった。そこで,本研究で開発したコードの有用性を調べるために,スーパーコンピュータ(CRAY C916/12256)を利用した.8個のCPUを利用すると指定してプログラムを走らせたところ,8個のCPUを使っている時間が一番長くなり,並列化の効果があることがわかった.今後は,開発したコードを実際にダイナモ問題に応用しつつ,並列処理を活かしたより効率のよいコードになるように改良し,地球ダイナモ問題に取り組むつもりである.
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