衝突破壊現象を理解するためには、固体中を伝搬する衝撃波の減衰過程を知ることが重要である.固体中を伝搬する衝撃波の減衰について、Godunov法による数値計算を行った.ユゴニオ弾性限界までは弾性体として振る舞い、それを越えるとBirch-Murnaghanの状態方程式に従って塑性変形するモデルを採用した.衝撃波を減衰させる効果としては、幾何学的効果と希薄波の追いつきによる効果を取り入れた.その結果、3次元球対称の場合、ピーク圧力は、それがユゴニオ弾性限界より大きいときは距離の3乗に反比例するが、弾性限界より小さいと距離の2.2乗に反比例して減衰することがわかった.これは固体モデルの細部にはあまり依存しない結果である.こうした減衰率は、適当なスケール変換をすれば衝撃波形が近似的に自己相似形をすることから半解析的に求めることができる.一方、破壊の進行過程を追うために破壊の基礎モデルを構築した.これは、Gready Kippの理論を改良したもので、ミクロなクラックの進展条件と、マクロな応力場の変化とをカップルさせたものである.今後はこの破壊モデルを組み入れた数値シミュレーションを行う予定である.また、惑星集積過程に衝突のシミュレーションを応用するため、微惑星の物性を取り入れたモデルを使い衝突破壊のシミュレーションを行った.微惑星は微粒子がvan der Waals力によって結合した集合体と考え、状態方程式を与えた.微惑星同志の衝突を平滑化粒子法によって数値計算した.その結果、構成微粒子のサイズによって破壊の様式が大きく変わることが明らかになった.これは微惑星の引っ張り強度が構成微粒子サイズに反比例するためである.
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