研究概要 |
650Wのハロゲンランプとレンズ,冷却ファンを組み合わせて,偏光測光実験用の明るい光源を自作した.他方,2段式軽ガス銃を用いて直径7mmの弾丸を玄武岩とアルミナの標的に衝突粉砕し,不規則な形と粉砕過程に特徴的なサイズ分布をもたせた試料を用意した. これらおよび標準白色板,アルミナ粉末,表面の粗さを変えたアルミナの板を用いて,予備的な偏光測光実験を行った.試料に分光器のスリットを合わせる.分光器は固定で,分光器の視野面を照射するようにしながら,試料を設置したところを軸に光源を回転移動させ,さまざまな位相角でデータを取得した.偏光は,光のパスが張る面に垂直な方向と面内の方向の2方向で測定した.現在実験データの解析中である. 実験に用いた試料は,その表面粗さを定量的に記述するため,電子顕微鏡で写真をとった.写真はコンピュータにとりこみ,解析を行う予定である. これまでの太陽系小天体(小惑星や小衛星)表面の凹凸や粒子サイズ分布は,惑星間塵,隕石,小惑星などとの衝突によって進化したと考えられる.室内衝突(模擬)実験から導き出した破片のサイズと速度の関係の経験則をもとに,小天体の表面の(特に凹凸や粒子サイズの)衝突進化を検討してみると,kmサイズ以下の天体表面構造は,破片のサイズ-速度関係に敏感であると予想された.小惑星表面の粒子サイズ分布の時間発展を,クレーターのスケーリング則や,室内衝突(模擬)実験から導き出した破片のサイズと速度の関係の経験則をもとに,検討している.
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