研究課題/領域番号 |
07740397
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地質学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
芦 寿一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40251409)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 帯磁率異方性 / 小断層 / 泥細脈 / 砕屑岩脈 / 剪断帯 |
研究概要 |
小断層・泥細脈など剪断・破断による堆積物の未固結時変形構造は,近年の沈み込み帯を深海掘削によって、その方向が応力場と深く関係していることが明らかとなっている。本研究では房総・三浦半島の新第三系シルト岩において、古地磁気および従来より堆積ファブリックの研究に用いられている帯磁率異方性を用い変形の度合いやセンスの見積もりを試しみた。変形は、小断層・シアバンド・泥細脈・砕屑岩脈を含む試料と周囲の試料を比較することにより、その程度とセンスを検討した。結果として、それぞれの変形構造について以下のような結果を得た。(1)小断層:帯磁率異方性は、剪断の方向に関係なく最大圧縮主応力軸方向に短縮する変形が認められた。古地磁気も同方向の短縮による伏角の変化が認められた。これらは断層面における脱水・圧密を示す。(2)シアバンド:剪断帯が薄い場合(1mm以下)には、帯磁率異方性によって面に垂直な方向の短縮がみられる。古地磁気方位には変化が認められない。剪断帯が厚い場合(5mm程度)には、帯磁率異方性・古地磁気とも露頭から認められる剪断センスと調和的な変形が認められた。(3)泥細脈:帯磁率異方性の最小軸が、個々の脈の面に垂直になる。これは、脈中の粒子が壁面に平行に配列していることを示す。(4)砕屑岩脈:帯磁率異方性の最大軸が岩脈の壁面に平行で、かつ一定方向を示す。岩脈内の物質の移動方向を示すと考えられる。古地磁気方位は岩脈内で一定であるが母岩と異なり、地層が傾動後に岩脈が貫入したことを示唆する。以上まとめると、剪断帯では最大圧縮主応力軸方向の短縮が認められ、剪断帯が厚い場合にはそのセンスを捉えることが出来る。砕屑性貫入岩は、帯磁率異方性によって内部の粒子の配列、すなわち貫入方向を知ることが出来る。また、古地磁気によって貫入時の地層の傾動方向を知ることができる。
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