研究概要 |
(1)半導体超微結晶のCd,Zn原子のk-edge端吸収、及びS原子のk-edge端吸収を測定する手法を確立した。特に溶液内でのCd,Zn原子のk-edge端吸収のin-situXAFS測定に成功した。長光路セル或いは高感度蛍光法を適用することによりこれまでに固体状態のみでしか測定が出来なかった当該の系について溶液内条件下にて良好なSN比をもってXAFS測定を可能とした。 (2)DMF溶液中でのCd,Znの4核錯体のXAFS測定により錯体の末端修飾分子が溶液内にて溶媒分子と置換していることの直接観察をはじめて行った。 (3)平均粒径3.6nmのDMF溶媒中のCdS微結晶についてEXAFS測定を行い、微結晶表面の溶媒和状態を検討した。その結果、Cd,Zn原子に対する酸素原子の配位の寄与が見いだされ、さらにその配位数と配位距離の検討から表面のCd,Znサイトが非常に強く溶媒和されており単サイト当たり複数のDMF分子により溶媒和されていることが明らかとなった。 (4)これまでに光触媒活性、光学特性の変化が確認されている有機分子、無機イオンなどによる表面修飾が施された系についてXAFS測定を行い微結晶表面の溶媒和状態と光機能との相関を明らかにした。特に表面修飾に伴う溶媒和分子と表面との距離の増大が明瞭に観測され、溶媒和状態の変化が確認された。また、硫黄原子の配位数も増大し、以上の表面修飾が微結晶表面の欠陥を減少させることが明らかとなった。 (5)ZnS超微結晶においては溶液内の共存アニオンにより表面構造が大きく変化し、表面欠陥密度がアニオンと半導体表面との相互作用が強い程、少なくなることが明らかとなった。
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