研究概要 |
キラルな2-オキサゾリン-4-カルボキシレートは、キラルなβ-ヒドロキシアミノ酸や2-アミノ-1,3-ジオールなどのビルディングブロックとして利用できる合成化学的に重要な有用化合物である。筆者らは、5-メトキシ-2-(p-メトキシフェニル)オキサゾールとベンズアルデヒドとを2倍モル量の(R)-メチルアルミニウム-2,2′-ビナフトキシドを触媒として、アセトニトリル中、-10℃(89h)で反応させると、2-オキサゾリン-4-カルボキシレート体がシス選択的(cis:trans=92:8)かつエナンチオ選択的(cis:88%ee)に得られることを明らかした。さらに、触媒のサイクル化を達成すべく種々検討を行った。その結果、30mol%の(R)-ビナフトールと31.5mol%-33mol%のトリメチルアルミニウムより調製した約30mol%のキラル触媒存在下、5-メトキシ-2-(o-メトキシフェニル)オキサゾールとベンズアルデヒドとを5℃で反応させると、触媒的に反応が進行し、不斉収率87-84%eeでcis-2-オキサゾリン-4-カルボキシレート体(cis:trans=85:15-83:17)が得られることを見出した。同様な条件下、種々のp-およびm-置換ベンズアルデヒド類との反応を検討したところ、いずれの場合も高い不斉収率(p-NO_2:76%ee,p-CN:76%ee,p-Cl:87%ee,p-Me:84%ee,p-MeO:89%ee,m-NO_2:84%ee,m-Cl:84%ee,m-Me:88%ee,m-MeO:90%ee)で反応するcis-2-オキサゾリン体を与えることを明らかにした。
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