研究概要 |
1,2-anti-あるいは1,3-anti-アミノアルコールの一般的合成法の確立を目的とし,酸素官能基に連結した炭素求核種の分子内イミンヘの付加反応の立体選択性について検討した。 まず2-あるいは3-ヒドロキシアミドから3段階でN-アシル-N,O-アセタールへ導いた。つづいて2または3位の酸素に炭素求核種としてビニルシリル基,フェニルシリル基などを連結させ反応の前駆体とした.これらの基質をルイス酸と処理すると,N-アシルイミン,あるいはN-アシルイミニウムイオンが発生し,同時に2位または3位の酸素に連結した炭素求核種の付加が進行した.シリル基を除去すると対応するアミノアルコールが生成した. 1,2-不斉誘導の場合,20対1から300対1以上とルイス酸,炭素求核種によって選択性は変化したが,いずれもanti体が優先して得られた.ルイス酸は二座配位子より一座配位子の方が選択性が良く,特にフェニル基を炭素求核種とした場合,収率85%,anti/synが300以上であった.1,3-不斉誘導の場合、収率,anti選択性は低下し,得にビニル基の反応は進行しなかった.しかしながら電子密度の高いチエニル基を求核種としたところ反応はスムーズに進行し,収率84%,anti/synが17であった.これらの立体制御因子は5員環、6員環の遷移状態における立体配座を検討することによって明らかにすることができた. 上記の反応によってanti体のアミノアルコールの立体選択的合成法が確立したのでヒドロキシ-α-アミノ酸の合成にこの反応を応用した.生成したアミノアルコールのビニル基,チエニル基を酸化的に分解してカルボキシル基へ変換し,anti体のβ-及びγ-ヒドロキシ-α-アミノ酸誘導体に導にくことに成功した.
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