研究概要 |
遷移金属イオンを含むシリカガラス試料の合成において、ゾル-ゲル法、ソノ-ゲル法、およびコロイドシリカ法の3つの異なる方法を検討した。この結果、SiO_2:Cr^<6+>ガラスの場合に発光強度からみてゾル-ゲル法が最も優れた方法であることが確認された。そこで、ゾル-ゲル法による、Cr以外のTi,V,Mnなどのイオン種について、試料合成と分光研究を進めた。このうち、MnとTiは本研究がはじめて報告する物質である。SiO_2:Mnガラスは出発原料がMn(II)Cl_2であろうがMn(VII)_2O_7であろうが、得られた試料の様子は変わらなかった。SiO_2:Tiガラスでは、TiCl_4を出発物質に用いた。ルミネッセンス分光研究において、4.2KでのSio_2:MnよりMn^<7+>イオンの発光をはじめて観測することに成功した。その発光は、570nmを中心とするブロードなスペクトルで、Mn^<2+>による弱い発光が共存していた。SiO_2:Tiの発光は400nm〜800nmの幅広い白色発光であり、T_dもしくはO_h対称場の電子状態にあると考えられる。総じて、本研究より、SiO_2ガラスにおける遷移金属イオンはTi,V,Cr,Mnイオンの閉殻電子構造に起因する^3LMCT遷移がシリーズとして現れることが、発光および励起スペクトルから確認されたことが大きな成果といえる。
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