研究課題/領域番号 |
07740541
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大西 洋 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20213803)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / 表面反応 / 触媒 / 固体表面 / 金属酸化物 / 二酸化チタン / 二酸化炭素 / ナトリウム |
研究概要 |
固体表面の化学反応は、基礎的・応用的な観点から今日もっとも注目されている化学現象の一つである。本研究では、走査トンネル顕微鏡で反応中の表面をその場観察することによって、これまで間接的にしか得られなかった金属酸化物表面の反応過程を原子レベルでとらえることに成功した。 まず、ルチル型二酸化チタン(TiO_2)の(110) 表面を清浄化し、(1 × 1) 清浄表面の原子像をはじめて観察した。得られた原子像がチタンあるいは酸素いづれに対応するものであるかを、ギ酸イオンの吸着を利用して判別した。さらに、真空アニールした清浄表面に生成するひも状構造が2本鎖からなるTi_2O_3部分酸化物であることを明らかにした。この2本鎖像の解釈については研究者間で見解が分かれていたが、ギ酸イオン吸着による表面サイトの化学的判別によってその構造が明らかにすることができた。 そして、800Kに加熱したTiO_2(110)清浄表面に酸素分子を吹き付けながらトンネル顕微鏡観察をおこない、基板に収蔵された還元チタンイオンが酸素雰囲気によって酸化され2本鎖酸化物が生成する反応をその場観察した。従来、金属酸化物表面の反応性はもっぱら酸素イオンの欠陥構造と結びつけられてきたが、本研究によって非量論的に存在する微量の還元金属イオンが重要な役割を果していることが明らかになった。 さらに、TiO_2(110)表面に蒸着したナトリウム原子と二酸化炭素との反応を観察し、特定の形状を持ったナトリウムアンサンブルだけが二酸化炭素と反応して炭素イオンを与えることを見いだした。このように、走査トンネル顕微鏡による連続その場観察によって、金属酸化物表面における吸着種の動的挙動を原子分解能で解明することができた。
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