研究課題/領域番号 |
07740578
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分離・精製・検出法
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩 高知大学, 理学部, 助手 (90253335)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ヒ素 / スペシェーション / 水圏 / 植物プランクトン / メチルヒ素 / バクテリア / 培養実験 |
研究概要 |
自然水中においてヒ素は主に5価無機ヒ素(As(V))として溶存するが、一次生産の盛んな水域では3価無機ヒ素(As(III))、5価ジメチルヒ素(DMAA(V))濃度がAs(V)濃度を越えることがある。本研究では、自然水中のヒ素化学種の季節変化及び植物プランクトンの室内培養実験から、ヒ素の酸化還元・メチル化過程を制御する環境要因について検討を行った。観測では有機ヒ素生合成過程の中間体である3価メチルヒ素の濃度分布をはじめて明らかにした。 1.フィールド観測は琵琶湖及び高知県浦ノ内湾で実施したが、両水域において同様なヒ素種の季節推移が観測された。As(III)濃度は春と秋のブルーム時に上昇した。クロロフィルaの推移にやや遅れることから、As(III)生成は主に一次生産に起因すると考えられる。一方,DMAA(V)はクロロフィルaではなく水温の推移とよく一致し、4〜7月初旬にかけて増加した。5-6月には3価メチルヒ素の極大値が観測された。DMAA(V)生成は時間・空間的に全細菌直接計数及びバクテリアの指標物質と正の相関を示すことから、バクテリアによる有機物分解過程と関係している可能性が高い。 2.観測水域の主要植物プランクトンをインキュベータ-内で無菌培養し、ヒ素に対する還元、メチル化能力の高い種を同定した。As(V)を添加した培地中で、数種のプランクトンがAs(V)をAs(III)に定量的に還元したが、メチルヒ素の生成率は最大で6%であった。As(III)、DMAA(V)は植物プランクトンの対数増殖期に順に増加し安定期以後は一定濃度を保った。一方、3価メチルヒ素は対数増殖期に急激に増加し安定期には枯渇した。これはDMAA(III)が生成後速やかに酸化されたためと考えられる。本研究より、プランクトンのメチル化では3価メチルヒ素の生成を伴うことが初めて実験的に証明された。
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