研究課題/領域番号 |
07740583
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
遺伝
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
熊澤 慶伯 名古屋大学, 理学部, 助手 (60221941)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ヘビ / 爬虫類 / ミトコンドリア / DNA / tRNA / コントロール領域 / 遺伝子配置 / PCR |
研究概要 |
ミトコンドリアDNA(mtDNA)の遺伝子配置は哺乳類、両生類、魚類などの脊椎動物間で極めてよく保存されている。しかし本研究の結果、ヘビ類mtDNAにおいては著しい遺伝子配置変動があることが明らかとなった。本研究ではヘビ亜目を代表する10数種について、既知の脊椎動物mtDNAにおけるtRNA遺伝子クラスター領域(IQM領域、WANCY領域)の塩基配列を解析し、以下の事実を明らかにした。1)原始的なヘビ類とされるメクラヘビ上科の代表種は、いずれもWANCY領域中のL鎖複製起点様ヘアピン構造を欠失していた。2)メクラヘビ上科のうちホソメクラヘビ科に分類される種では、いずれもGln-tRNA遺伝子がIQMからWANCY領域へ転位していた。3)メクラヘビ以外のヘビ類はいずれもIQM領域中に約1.5kbpもの長挿入断片が見出された。これらの事実からメクラヘビ上科及びホソメクラヘビ科の単系統性が強く示唆された。また上記挿入断片は、他のmtDNAにおける(複製や転写の)コントロール領域及び周辺のtRNA遺伝子と相同な配列から成ることが分かったため、メクラヘビ類以外のヘビ類の共通祖先においてコントロール領域近傍からIQM領域へ転位したものと判断された。しかし驚くことに、コントロール領域が本来存在するはずの箇所(12SrRNA遺伝子とシトクロムb遺伝子の間)をヒメハブにおいて解析したところ、IQM領域に挿入されているのと全く同一のコントロール領域様配列が存在していた(但し隣接するPro-tRNA遺伝子は欠失していた)。一つのmtDNA分子中に2ヶ所のコントロール領域様配列が存在する事実は、LA-PCRを用いた別の実験により更に裏付けられた。以上の結果は、2ヶ所のコントロール領域間での遺伝子交換がかなり頻繁に行われている可能性を示唆し、mtDNA遺伝子の配置変動における分子機構を探る上で有用な題材を提供するものと思われる。
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