研究課題/領域番号 |
07740615
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物生理
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷口 光隆 名古屋大学, 農学部, 助手 (40231419)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | C_4光合成 / キビ / 2-オキソグルタル酸 / リンゴ酸トランスロケーター / 機能分化 / ミトコンドリア / 遺伝子発現 |
研究概要 |
高等植物においてリンゴ酸は様々な生理機能に関与しており、各細胞内コンパートメント中のリンゴ酸濃度を調節する機能が必要である。その一つとして、リンゴ酸輸送体がリンゴ酸代謝系酵素と協調して輸送調節を行っている可能性があげられる。本研究では、オルガネラの機能分化とそれに対応したリンゴ酸輸送体の機能分化ならびに発現様式の変動を明らかにすることを目的とし、光合成を司るオルガネラとして形態的および機能的な分化をとげているC_4植物キビの維管束鞘細胞ミトコンドリアに存在する2-オキソグルタル酸/リンゴ酸トランスロケーター(OMT)に着目した。このOMTは、C_4光合成代謝産物の効率的な輸送に関与していると考えらている。キビ黄化葉を緑化させると光合成酵素遺伝子の素早い発現誘導がみられたが、この時ミトコンドリア膜局在のATP/ADPトランスロケーターやAPT合成酵素の相対的なmRNA量は減少する一方、OMTmRNA量の増大が観察された。さらに、キビ緑葉の基部から先端部にかけての葉細胞の分化・発達に伴う維管束鞘細胞ミトコンドリア局在性酵素の比活性を調べたところ、光呼吸系やエネルギー転換系酵素の活性は一定あるいは減少するのに対して、OMTタンパク質は他の光合成酵素と同様に増大していた。したがって、細胞の成熟に伴い維管束鞘細胞ミトコンドリアが光合成オルガネラへと機能分化していく過程で、マトリクス内の光合成酵素と協調して、膜中の輸送体タンパク質の発現誘導が引き起こされていることが明らかとなった。また、ウエスタン解析の結果、このようなOMTタンパク質は維管束鞘細胞にのみ存在することから、光合成オルガネラへと機能分化した維管束鞘細胞ミトコンドリア膜間では光合成代謝産物の効率的な輸送能が必要とされるため、維管束鞘細胞独自の代謝産物輸送体を備えていることが予想された。そこで、キビの葉肉細胞と維管束鞘細胞のミトコンドリア膜のタンパク質組成を比較し、新奇な輸送体の同定を試みている。
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