研究概要 |
これまでの研究により、気孔の青色光に依存した開孔(青色光効果)時にリン酸化される蛋白質として、分子量約80kDa、等電点7.6前後、および分子量約120kDa、等電点5.7前後の2つの蛋白質が明らかとなった。本研究では、(1)これら蛋白質のcDNA単離のための微量精製 及び(2)^<32>Piを用いてさらに気孔の青色光に依存した開孔時にリン酸レベルの変化する蛋白質の検索を行なった。 (1)まず、80kDa,120kDa蛋白質の細胞内局在を遠心分離法により調べた。その結果、80kDa、120kDa蛋白質ともに原形質膜画分に存在することが明かとなった。そこで、ソラマメ葉約2,000枚の裏側表皮より孔辺細胞プロトプラストを単離し、さらに孔辺細胞プロトプラストより原形質膜画分を単離し、2次元電気泳動により蛋白質を分離を行なった。蛋白質が分離したゲルより80kDa,120kDa蛋白質の単一スポットを単離した。その結果、80kDa蛋白質が5pmol、120kDa蛋白質が10pmolの回収量となった。実験計画では、これらの精製蛋白質をリシルエンドペプチダーゼ処理し、HPLCで分離後アミノ酸配列の決定を行なう予定であったが、他の精製蛋白質を用いて予備実験を行なったところ現在所有している機器を用いて行なうと、始めの蛋白質量として最低20pmol必要であることが分かった。そこで現在は、ソラマメ孔辺細胞プロトプラスト原形質膜画分のさらなる回収、及び、孔辺細胞プロトプラストが大量に回収できると期待されるニコチアナ・グラウカの大量育成を行なっている。 (2)(1)の実験と平行して、さらに気孔の青色光に依存した開孔時にリン酸化レベルの変化する蛋白質の検索を行なった。その結果約100kDaの蛋白質が青色光に依存して顕著に脱リン酸化されることが明らかとなった。現在はさらに詳しい100kDa蛋白質脱リン酸化反応の性格づけを行なっている。
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