研究概要 |
1.本邦産のツチガエル(Rana rugosa)の東広島(広島県)、大子(茨城県)及び浜北(静岡県)の3地方集団を用いて、幼生期のステージI、V及びXに1匹当り100μgのテストステロンプロピオネートを投与し変態完了期に性腺を調べたところ、東広島及び大子集団では全ての処理群で79.2-100%と高率に雄が観察され、浜北集団では42.9-60.9%となり対照群と差はなかった。従って、雄性ホルモン投与により、東広島及び大子集団では雌から雄への性転換が起こり易く、浜北集団では起こり難いことが考えられた。 2.東広島集団の幼生期のステージVに0.01,0.1,1,10,100μgのテストステロンプロピオネートを投与したところ,1μg以上の投与で100%雄が観察された。さらに、東広島及び浜北集団のステージVに10μgのテストステロンプロピオネートまたはエストラジオールベンゾエイトを投与したところ、東広島集団へのテストステロンプロピオネート処理でのみ100%雄が観察される。従って、雄から雌への性転換は雄性ホルモンによって誘導されることが考えられた。 3.東広島集団と浜北集団間の性逆雑種を作り、その幼生期のステージIに100μgのテストステロンプロピオネートを投与したところ、91.4-100%と高率に雄が観察された。従って、ツチガエルでは性転換を抑制するのではなく誘導する機構が存在することが考えられた。 4.成体のアフリカツメガエルよりmRNAを抽出し、すでにクローニングされているヒト、ラット及びマウスの雄性ホルモン受容体cDNAの塩基配列を基に設定したプライマーを用いてRT-PCRを行ったところ約700塩基対のフラグメントが増幅された。現在、そのクローニングを行っている。
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