研究課題/領域番号 |
07740669
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人類学(含生理人類学)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
五百部 裕 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20252413)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ボノボ / ワンバ / ザイール / 土地利用 / 集団間比較 / 遊動 / 生息環境 / 果実食 |
研究概要 |
今年度は、昭和61〜平成元年度までの3回にわたり、ザイール共和国赤道州ワンバに生息する野生ボノボのE1、E2集団を対象に、申請者自身が行った現地調査で収集したボノボの採色行動、遊動距離、および泊り場間の距離に関する資料を分析した。その結果、1.両集団とも、どの季節でも食物の中で果実の占める割合が最も高いこと、2.両集団とも、果実の生産量に対応した形で、食物に占める果実の割合が季節的に変化すること、3.同じ季節でも、集団によって食物に占める果実の割合が異なること、4.両集団とも、果実の採食割合が高くなると1日の遊動距離が短くなること、5.両集団とも、果実の採食割合が高くなると1日の遊動距離のばらつきが大きくなり、日によって1日の遊動距離が大きく変わること、6.両集団とも、果実の採食割合が高くなると泊り場間の距離が短くなることが明らかになった。ボノボが生息している熱帯多雨林では、果実の生産には季節性があり、かつ果実は森の中に不均一(パッチ状)に分布することが知られている。果実を主食にしているボノボは、こうした果実の特徴に対応して、1日の遊動距離や泊り場間の距離を変化させ、食物探索にかけるコストを低減する一方で、食物、とくに果実から得られるエネルギー量を最大化するという採食戦略を採用していると考えられた。今回得られた成果は、日本霊長類学会や、国際霊長類学会で発表するとともに、学術専門誌に投稿する予定である。また、今回は、申請者自身が収集したE1、E2集団の資料を分析したが、今後は、京都大学霊長類研究所や明治学院大学一般教育部に保存されている、他の調査期間や他の集団の資料を分析し、今回得られた結果がワンバのボノボ全体に一般化できるものかどうかを検討する予定である。
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