研究概要 |
最近、高感度のCCDカメラを装備したラマンイメージング装置を用いることで、非常に微弱なラマン信号を短時間でS/N良く測定できるようになってきた。本研究では、再結晶化シリコン中の欠陥検出が可能かどうかを確認した上、酸化膜上ナノスケールシリコン薄膜の結晶性について調べた。特に、酸化膜上のナノスケールシリコン薄膜(SOI試料)において、酸化膜との界面付近のシリコン薄膜の結晶性の評価を行った。 ラマンイメージ測定による欠陥検出の確認は、再結晶化シリコン試料中に多くの欠陥が含むようなイオン注入後フラッシュランプアニールされた試料を用いて行った(Journal of Applied Physics,77,1995,3388-3392.Material Science Forum by Trans Tech Publication,1995,印刷中)。その後、酸化膜上のナノスケールシリコン薄膜の結晶成長のメカニズムを調べるため、ガス源としてシランおよびジシランの2種類を用いて、熱アニールの際の結晶成長速度の違いを調べた。その結果、シランをガス源として用いたナノスケールシリコン薄膜の方が早く全体が結晶化されることがわかった。これは、アニールの際、結晶成長のための核生成率が違うためと考えられる。(Journal of Applied Physics,78,1995,3357-3361.)さらに、酸化膜付近のシリコン薄膜の界面状態を調べるため、シリコン薄膜を斜め研磨し、シリコン薄膜内の深さ方向のラマンイメージを測定した。その結果、界面に付近では結晶性が悪く、欠陥が多く存在していることがわかった(未発表)。
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