研究概要 |
有機超薄膜の微視的な構造やその領域での光学物性の解明は,基礎物性の探求に不可欠であるばかりでなく,それらを分子エレクトロニクスやバイオエレクトロニクスデバイスに応用する場合にも重要である.本研究の主な目的は光の回析限界を越える微視的な領域での光学物性の解明することである.そのため,表面プラズモン顕微鏡(SPM)と走査型ニアフィルド顕微鏡(SNOM)の試作及びそれによって得られる像の理論計算を行った.SNOMを用いて試料近傍に局在するエバネッセント光をプローブすることによって光の回折限界を越えた解像度を得ることができた.本研究の特色は以下の通りである (1)SPMによる巨視的な領域とSNOMによる微視的な領域の観察を同時に行うことが可能な光学系を作製した.633nmの波長のHeNeレーザーの他に543nmの縁,612nmのオレンジおよび594nmの黄色のレーザーを購入し利用できるようにした.各々の色素の会合体にあわせて波長を選択し観察を行うことができるようになった. (2)SPMとSNOMを用い基板に吸着した粒上の金の粒子を観察し原子間力顕微鏡で得られた像と比較を行った. (3)SPMとSNOMを用いて,表面プラズモン共鳴条件下でその表面近傍に発生している高揚されたエバネッント光の散乱を像として捕らえた.これは,走査型ニアフィルド顕微鏡の新しい増感方法として用いられることができる.また,この方法における散乱強度の計算も行い実験結果と比較した. (4)SNOMで直接測定を行うことができると期待される局所場因子の計算を様々な試料及び光学配置で計算をした.その結果,分子の相互配置が局在場因子に大きな影響を及ぼすことがわかった。
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