有機色素を分散させた高分子膜により発生する位相共役波の偏光特性は、分散させる有機色素の種類により大きく異なる。2種類の有機色素を分散させた高分子膜による位相共役波は個々の有機色素を分散させた高分子膜による位相共役波の特性を合わせ持つ。このため、高分子膜に分散させる2種類の色素の種類や量を変化させることで、さまざまな偏光特性を持つ位相共役波を発生させることが期待できる。 一つの高分子膜に分散させることが可能な有機色素の組み合わせを見つけ、分散させる2種類の色素分子の分子の数を割合に対する位相共役波の偏光特性を調べた。 高分子、ポリビニルアルコールにアゾ系色素、メチルオレンジとキサンテン系色素、エリトロシンBを分散させた膜と、ポリビニルアルコールにメチルオレンジとアクリジン系色素、アクリジンオレンジを分散させた膜を作成した。2種類の有機色素が同一の溶媒に溶ける場合には、1種類の有機色素を分散させた高分子膜と同様に、2種類の有機色素を分散させた高分子膜を作成できることが分かった。 作成した2種類の有機色素を分散させた高分子膜による位相共役波の偏光特性を偏光子(自動偏光子ホルダー(補助金により購入)付)を用いて測定した。分散させる2種類の色素分子の分子の数の割合を変化させることで、位相共役波の偏光状態は大きく変化した。二波混合やポンププローブ法(緑色光ヘリウムネオンレーザ(補助金により購入)を利用)により測定された3次の非線形感受率を用いて、位相共役波の偏光状態を計算した。メチルオレンジとエリトロシンBを分散させた膜による位相共役波の偏光状態の測定結果は計算と良い一致をした。しかし、メチルオレンジとアクリジンオレンジ分散させた膜に関してはあまり良い一致は見られなかった。
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