平成7年度の研究成果は以下の通りである。 1.本実時間システムで使用するTip-Tilt鏡の周波数応答性を測定した。共振周波数は3kHzであった。周波数応答特性は、ステップ入力に対して不足制動であることを示していた。したがって、適当な制動を加えれば、ステップ入力に対して0.2ms以内に応答させることが可能である。すなわち、大気揺らぎの変動周期10msに対して、十分高速な応答が可能である。 2.本システムは、天体スペックル像の最明スペックル位置を追跡する。このとき、スペックル像の検出時における量子ノイズは、最明スペックル位置の同定においてエラーの原因となり、再生像のSN比を低下させる。解決策は、検出されたスペックル像をフィルタリングすることである。本システムでは、この処理を実時間で高速に行う必要があるが、これをディジタル的に行なうには、専用ハードウェアが必要である。そこで、ディジタル的なフィルタリングの代わりに、簡単な光学的フィルタリングを行う方法を提案した。光学的フィルタリングの効果を実験的に検証し、十分満足な効果が得られることがわかった。 3.本システムの光学系部分の設計を行なった。光学系は、市販の光学ベンチを使って一体化された。
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