研究課題/領域番号 |
07750074
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物理学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 寿浩 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (80262111)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 圧電微小力センサー / 走査型力顕微鏡 / AFM / 圧電薄膜 / 液中動作 / SFM / 自己励振 |
研究概要 |
本研究では、高粘性抵抗下でも自己励振が可能な圧電微小力センサーを用いることにより、液中で動作することが可能なダンナミック走査型力顕微鏡を開発を行った。具体的には、まず液体環境での使用に耐えると共に、機械的Q値が低い共振状態でも振動状態を検出することが可能な高感度の圧電微小力センサーを設計・開発した。そして、圧電微小力センサーの液中での振動特性を特定を行った。さらに、開発した圧電微小力センサーを使って液中走査型力顕微鏡を構成し、試料観察によってその有効性を確認した。 (1)圧電微小力センサーの設計:圧電微小力センサーの振動特性や感度は、層構造やレバ-長,幅に大きく依存する。さらに、走査型力顕微鏡の力情報の分解能もカンチレバ-の剛性や固有振動数に関係している。そこで、伝達マトリックス法を用いて、液中における粘性抵抗などを考慮したカンチレバ-振動の解析を行った。また、上記の項目を総合的に検討して、圧電微小力センサーの形状の設計を行った。特に、自己励振時に圧電効果による動アドミッタンス成分のみを検出するため、補償パターンを付加した構造を採用することにした。そして、これらの結果に基づいてセンサー製作プロセスおよびマスクパターンの設計を行った。 (2)圧電微小力センサーの製作:設計した製作プロセスに基づいて圧電微小力センサーの試作を行った。特に重要なプロセスは、圧電薄膜の形成とパターンを液体から保護する膜の形成である。圧電薄膜としてゾルゲル法によるPZTを用いるとともに、保護膜としてシリコン酸化膜を用いて、所要の構造を有するセンサーを試作することができた。 (3)液中振動特性の測定:センサーのカンチレバ-部をプロパノール中に入れた状態で圧電電流の周波数特性を測定することにより、液中での機械的Q値約6の共振を確認することができた。 (4)走査型力顕微鏡実験:液中動作の走査型力顕微鏡を構成し、プロパノール中で1μmピッチの回折格子の観察を行うことに成功した。 以上により、本研究では圧電微小力センサーSFMシステムの液中観察における有効性を実証した。
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