研究概要 |
光導波路の境界は一般に解析されているように完全に滑らかなものではなく、不規則な境界となっている。本研究は、申請者がこれまで行なって来た確率論と郡論の手法を組み合わせた確率汎関数法を用いた不規則表面の散乱問題の解析を不規則な境界を持つ光ファイバーにおける導波モードの散乱、放射や結合に応用し、不規則な境界を持つ光導波路の解析を行なった。 本研究では不規則境界面の粗さが小さく、不規則境界面が一様なGauss確率場で表せるシングルモード光ファイバーの場合について解析を行なった。 そのため、以下の手順に従って研究を進めた。 1.シングルモード光ファイバー内におけるスカラー波のGreen関数を不規則境界面の確率汎関数で表現した。 2.Green関数をWiener-Ito展開形で表現すると、Wiener核A_n,n=0,1,2,…,∞を含むが、このWiener核を無限次の階層方程式により決定した。 3.以上の結果を用いて、放射損、モード結合係数をWiener核を含んだ形式に定式化した。 4.不規則境界のパラメータ(相関距離、境界面の粗さ)を種々に変えて、導波モードの放射損、モード結合係数と不規則境界面の関係を数値計算を用いて解析を行ない、その結果を示した。 得られた結果を分析した結果、導波路面の確率モデルが本研究で仮定した一様なGauss確率場で表せる場合には導波路の放射損の最大値には強く依存しないことが示された。こらは仮定した導波路面の確率モデルが実際の導波路面を完全に表現していないためと思われる。現在は、解析が複雑となるがより忠実に実際の導波路面を表すボアソン確率場を用いた導波路面モデルを作成中である。
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