研究概要 |
逆解析においては,対象を数理モデルとして扱い,有限要素法や境界要素法などの数値解析結果と,実現象や目標値との比較から未知量を近似したパラメータを求める手法が採用されることが多い。このように未知量をある関数形で近似することは問題の不適切性を回避するうえで有効であるが,どのような関数形を用いれば良いのか,また,パラメータの数や種類をいかに設定するかといったモデリングの問題が生じる。 本研究では未知パラメータの数や個数を遺伝的アルゴリズムを適用して設定する手法を開発し,その有効性を確認することを目的とした。遺伝的アルゴリズムの適用に際しては,逆解析の対象である表現型とアルゴリズムで扱う遺伝子で表現された遺伝子型との間の変換方法を検討しなければならない。また、個体数や増殖数,突然変異率,交叉方法などアルゴリズムにおけるパラメータに関する検討も必要である。さらに,個体が淘汰され進化していく仮定において適応度の評価方法も課題となる。 研究目的を達成するため,次の項目について考察した。 (1)逆解析における未知パラメータの種類や個数をアルゴリズムにおける遺伝子で表現する汎用的手法として,整数型の遺伝子表現による方法を提案した。 (2)個体数や増殖数,突然変異率,交叉方法,終了判定など,遺伝的アルゴリズムにおけるパラメータの適合的決定法を提案した。 (3)力の伝達機構や歯車伝達機構の自動生成問題,穴あけによる軽量化設計問題,エンジン振動低減のためのマウント設計問題など,いくつかの最適設計問題を解析することにより手法の有効性を確認した。
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