研究概要 |
本研究は,ウォータジェット加工について,工作物に作用している加工力に基づいた状態認識技術を提案することを目的として,平成7年度に行なわれた. まず,工作物に作用する力を検出するために,八角形リング構造と平行平板構造とを有する歪ゲージ式力センサユニットを新たに開発し,この力センサユニットの展開形,すなわち4隅に力センサユニットを配し,中抜き構造を有する加工テーブルを製作した.そして,製作した力センサによって検出した3軸力情報を加工中の状態に詳細に対応づけるため,加工状態の可視化が容易であるメタクリル樹脂を工作物材質として選び,加工中の状態をビデオカメラで記録した.なお,実験においては,工作物の厚さ,ノズル送り速度,吐出圧力を加工条件として種々に設定した. その結果,検出される3軸力情報から計算されるそれぞれの(a)平均値,(b)標準偏差値あるいは分散値,(c)静的成分の変化,(d)主振動周波数により,さらに,これらの情報の相互の組み合わせにより,ウォータジェット加工において発生する多くの加工状態の認識が可能であることを認識手法の具体的提案によって明かにし,その有効性を示した.特に,複数の軸力を検出し,そこから複数の情報を獲得し,これらを総合的に評価することにより,単一情報では認識・判別不可能ないくつかの加工状態の認識が可能になるという,重要かつ意義ある結論を得た. 具体的には,(i)水噴流が工作物を貫通できない状態(主分力の(a)および(b)と送分力の(a)により認識可能),(ii)縞目模様の発生(主分力あるいは送分力の(b)と(d)により認識可能),(iii)縞目模様の曲がり状態(主分力と送分力の(a)に対応),(iv)縞目模様の生成ピッチ(主分力あるいは送分力の(d).特に送分力の(d)が顕著),(v)切断前面開拓面の形状変化(主分力と送分力の(c)),(vi)加工棚の発生(主分力の(c)が増加し送分力の(c)が減少),(vii)工作物の分離不良の発生(主分力の(c)に顕著なピークが存在),(viii)分離不良部の状態((vii)において,送分力の(c)の挙動により分離不良部の形状の認識が可能)の認識が可能となった.
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