研究概要 |
本年度は,十分な信頼性を有する寿命評価システム構築のために必要となる,学習データを得ることを主たる目的とした.そのために光ファイバ型輻射温度計を用いて研削加工中の砥粒切れ刃から輻射される赤外線パルスを測定するための装置,砥石表面の摩耗状態を観察するためのプロフィール測定装置を作製した. 研削加工中の砥粒切れ刃から輻射される赤外線パルスを測定し,さらに研削抵抗と砥石表面のプロフィールを測定することから砥石の研削能力を評価した. 上記の計測・観察の結果,砥石が摩滅・摩耗して研削能力の低下が進行する場合と,砥石のバランス狂いやドレッシングが十分に行われていないなどの理由から加工中にびびり発生が起こってしまう場合とでは顕著な差がみられた. 正常な研削能力低下の場合,砥石の砥粒切れ刃は摩耗・欠損して,研削抵抗は上昇してしまう.この際,観察される切れ刃からのパルス波形は,個々の切れ刃の切削能力の低下のために,徐々にパルス数が減少していく. 一方びびりが発生する場合では,当初は正常な研削加工が行われるものの,加工がすすむにつれ研削抵抗にびびりが見られ,パルス波形には砥石の回転周期と等しい間隔でパルスの密・疎のパターンが観察された. 以上のように,砥石が正常に摩滅・摩擦していく経過と,びびりが発生して研削加工を中断する必要がある場合の判定が,光ファイバ型輻射温度計によるパルス波形の観察から十分に行い得ることを確認することができた.今後はパルス波形をニューラルネットワークによってパターン判別する方法について研究を進める.
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