研究概要 |
マイクロマシニングによって創成される数10〜数100マイクロメートルの微細加工形状の測定評価法を確立するためには,マイクロメートルオーダの微細形状をナノメートルオーダで計測可能なナノ3次元座標測定機の開発が必要である. そこで本研究は,ナノ3次元座標測定機の中核技術である位置検出プローブの開発を目的とするものであり,レーザトラッピング技術を応用したレーザトラッピング非接触プローブを提案し,基礎的な現象の解明と基本原理の確立を行うものである. 本年度は,トラッピング力の理論解析に基づいて,高精度干渉顕微鏡と3次元トラッピング光学系を組み合わせた実験装置を構築し,レーザトラッピング非接触プローブの基本特性を調べる実験を行った.当該年度の研究成果をまとめると以下のとおりである. 1.レーザトラッピング力の理論解析 微小球に作用するトラッピング力をレーザ光による放射圧理論に基づいてモデル化し,粒径,レーザパワー密度およびスポット径等の影響を数値解析によって明らかにした. 2.レーザトラッピング非接触プローブ基本光学系の構築と微小粒子の3次元トラッピング実験 数値解析に基づき,Arレーザ光(488nm)を集光して微粒子を捕捉するレーザトラッピング光学系にHe-Neレーザ光(633nm)によるMirau干渉顕微鏡光学系を組み込んだレーザトラッピングプローブ光学系を構築した.さらに,対物レンズ(50×)によって集光された波長488nmのArレーザ光によって液晶素子用のスペ-サシリカ粒子(粒径5μm)を3次元的に捕捉できることを明らかにした. 3.Mirau干渉顕微鏡による微小球の変位計測実験 ピエゾ素子付きのXYZ試料ステージによって粒子をナノメートルオーダで移動させ,その変位量をHe-Neレーザ光によるMirau干渉計によって高精度に計測できることを明らかにした.
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