本研究の目的は、ファインセラミックスの優れた特性を損なうことなく、希望する形状を得るための加工法の確立である。我々はこの方法として化学反応を利用したプラズマCVMを提案し、これまでに、形状加工装置の開発への基礎研究として、電極近傍のガスの流れと得られた加工形状の関係を計算機シミュレーションによる流体解析によって明らかにする手法を確立してきた。 本年度は、新たにラジカルガン型の電極を提案し、その加工特性の解析を行った。この方法は、ラジカル生成源であるプラズマを加工部と分離して発生させ、生成したラジカルのみを加工部に吹き付けることにより加工を行うものである。プラズマを加工部と分離することで、(1)加工物に熱的損傷やイオン衝突による欠陥の生成を抑えることができ、(2)電気回路としてのバウンダリと流体としてのバウンダリを別個に取り扱うことができるため、両者の制御を独立して行うことができる、すなわち、プラズマのエネルギー状態を一定に保ったまま加工ギャップやラジカル噴出口の形状を変化させて加工痕形状を評価することができる、という利点がある。 このような電極を用いてシリコンの加工を行ったところ、流体解析結果と定性的に一致する加工痕形状を得ることができ、新たな加工電極としての可能性を見出すことができた。
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