研究概要 |
数ナノメータの精度でエアスピンドルの回転精度を測定するするために,本研究では,まずナノメートルの精度を持つ直交型混合法用光学式センサを試作し,その基本特性を調べた.センサは直角に配置される変位プローブと角度プローブからなる.試料の真円度形状とエアスピンドルの回転運動誤差をナノメートルオーダの精度で分離して測定するために,分離能が1nmと0.01″の変位と角度プローブが必要になる.その要求に満たすことのできるものとして,本研究では,臨界角の原理を利用する変位プローブと角度プローブを用いることにした.変位プローブと角度プローブは類似の光学原理のものを利用することで,温度ドリフト特性などを揃えることをもねらう.角度プローブを高感度にするため,臨界角プリズムの初期反射率を0.80にした.また,角度プローブの光ビーム径に合わせるため,変位プローブのワイドレンジを使った.それぞれ容量型変位計と光電式オートコリメータを基準にして,変位プローブと角度プローブをそれぞれ±1.2μm,±25arcsecの範囲で校正した結果,3次近似曲線からの当てはめ誤差はどちらも測定範囲の±0.5%以内となった.なお,プローブの安定性を調べた実験結果から,20秒間の測定時間において,変位プローブと角度プローブとも分解能のレベルの安定性を保てることが分かった.次に,直径1インチのマスター球をエアスピンドルに取り付け,直交型混合法によるエアスピンドルの回転運動誤差及びマスター球の真円度形状の測定を行った.測定結果から,全空間周波数にわたってナノメータの精度で両者測定できる見通しを得た.
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