研究概要 |
非定常噴霧火炎における燃料蒸気濃度分布の不均一性と燃焼機構の関係を調べる事を目的に,シリコンオイル粒子散乱光法とレーザー誘起赤熱法により,自由噴霧火炎内の未燃燃料蒸気濃度分布とすす濃度分布を同時に2次元可視化した.燃料噴射圧力55MPa,噴口径0.15mmの噴射条件下で得られた画像から,着火後,未燃燃料蒸気は噴口から50mmより下流には存在しない事,すすは着火から約0.5ms後に観察され始める事などが分かった.また,噴射期間中,噴口から50mm下流の領域では,大きさ約5mmの未燃燃料蒸気塊が間欠的に上流の未燃領域から飛び出し消失していく様子が観察できた. 噴霧火炎内のすすの生成と酸化過程をさらに調べるために,レーザー誘起赤熱法と弾性散乱光法により,非定常自由噴霧火炎内のすす濃度,すす粒径,すす数密度を2次元可視化した.噴口径は0.15mm,噴射圧力は55と100MPaで実験した.得られた結果から以下の事が分かった.(1)非定常自由噴霧火炎では,すすは火炎中心領域で生成される.そのため,火炎中心領域におけるすす粒径は小さく,すす数密度は高い.(2)生成されたすす粒子は,バルク流により火炎先端周囲領域に輸送される.その間,すす粒子同士の合体や凝集,乱流拡散により,すす粒径は増加し,数密度は低下する.その結果,火炎先端領域ではすす粒径は大きく,すす数密度は低い.(3)噴射圧力の増加は,火炎中心部のすす発生と火炎先端周囲領域におけるすすの酸化を促進する.酸化促進がすす生成促進を上回るため,火炎内平均すす濃度は噴射圧力の増加にともない低下する.
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