直径640mm、高さ450mmのアクリル製透明円筒状水槽内で、作動流体を水とし、中心軸上に円管排水管とその外側に旋回流を与える環状給水部からなる人工竜巻発生装置を用いて実験を行った。底面に置かれた伝熱面には、多数の熱電対を配置し、高速・高精度のデータ・ロガーを用いて伝熱面の各位置の温度変化を局所的に測定し、自然対流と竜巻との相互作用による伝熱特性を計測し、また、伝熱面に感温液晶等を塗布し、温度変化の様子をカラー3CCDカメラを用いて可視化を行った。しかしながら、温度分布の測定および感温液晶により温度変化の様子を観察することができたが、人工竜巻自身が、空間的および時間的に非常に不安定なため、定量的な測定が非常に困難であったため、定性的な測定のみにとどまった。そこで、まず、安定した竜巻を発生させるために、人工竜巻発生装置の改良および安定条件の検討を行った。水素気泡法などを用いることにより、環状給水部からの旋回流そのものが、空間的および時間的に一様になっておらず、流れ場全体にその影響がおよぶことにより、人工竜巻の不安定性が増加していることが判明したため、環状給水部に重点的に改良を加えた。従来下向きに吹き出していた旋回流を、横向きに吹き出すことにより、一様に近い流れとした。さらに、人工竜巻を定量的測定に非常に有効な層流渦にすることにより、これまで測定の困難であった人工竜巻の速度分布などの測定が可能となった。当初の目的であった、伝熱特性の計測までには至らなかったが、今回計測可能となった、人工竜巻の流体力学的特性を考慮すると、局所冷却等への人工竜巻の応用は非常に有効であることが予想され、また、さらなる研究の必要性が判明した。
|