| 研究概要 |
1.第1段階として,角柱プロモータを挿入した層流境界層に関する非定常数値解析用コードを作成した.発達する層流境界層に関する予備計算を行った結果,ほぼ妥当な定常収束解が得られた.境界層厚さおよびプロモータ一辺の長さを固定し,主流レイノルズ数を数通りに変化させて計算を行った.かかる計算は現時点で完了していないものの以下の知見を得た.(1)物体挿入位置で壁面熱伝達率は極大値を示す.(2)流れ場は主流速度によらずプロモータから発生するカルマン渦により周期的に変動を繰返す.(3)主流レイノルズ数がある値以上になると,プロモータの下流において熱伝達率の第2ピークと摩擦係数の極小値が認められた.(4)この局所的瞬間的に発現する非相似性は,カルマン渦により誘起される時計回りの渦が低温流体を壁近傍に供給することにより生じる.2.第2段階においては,第1段階で作成したコードにk-ε乱流モデルを組込み,角柱プロモータを挿入した乱流境界層に関する非定常数値解析用コードを作成・実行して以下の知見を得た.(1)プロモータから発生するカルマン渦の周期は整理した実験値とよく一致する.(2)プロモータの下流において熱と運動量輸送の非相似性と類する結果が得られたものの,熱伝達率および壁面摩擦係数の予測値は実験値と定量的には一致しなかった.(3)この非相似性は層流場と同様にカルマン渦の存在を考慮してはじめて予測し得ることが分かった.(4)実験値とのずれがカルマン渦のスケールを小さく予測するために生じることをつきとめた.(5)係数の変更を試みた結果,カルマン渦のスケールは係数Cμを修正することによって大きく予測し得ることが分かった.以上の本研究で得られた成果は,カルマン渦的な流れの周期変動成分に対するモデル化が必要であることを示唆しており,その内容は今後の研究として検討していく所存である.
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