研究概要 |
本年度は,まず申請者らによるこれまでの非線形系のH_∞制御に関する結果をStrict dissipativityという概念を新たに定義することによって整備し,状態フィードバックによる非線形H_∞制御問題が可解であるための必要十分条件を導出した.非線形系の滑らかな状態フイ-ドバックによる漸近安定化のための十分条件はいくつか既に得られているが,L_2安定性を加えた漸近安定性を考慮することによって,この結果は初めて漸近安定化のための一つの必要十分条件を与えたものである.また,これにより状態フィードバックによるロバスト制御系設計法の一つの基礎が確立したといえる. ついで,非線形系の感度特性など様々な設計仕様を定義するため,L_2ゲイン以外に,L_<2∞>ゲイン,L_<2∞>/L_2ゲイン,ハンケルゲインを新たに定義して,その特徴づけをハミルトン・ヤコビ不等式の解の可解性に帰着できることを示した.これらは線形系で得られた結果を非線形系に自然に拡張できることを示す.また,線形近似システムが与えられる場合には,もとの非線形システムのこれらのゲインと線形近似システムのゲインとは等しいことを証明した.これによって,線形近似システムに対して構成された線形制御則は,もとの非線形システムに対しても原点近傍で線形システムの場合と同じゲインの大きさが保証されることがわかった.しかしながら,線形系におけるH_2ノルムおよびL_<1∞>ゲインに対しては,非線形系に拡張することができないかもしれないという否定的な推測が得られた.今後は,この点を明確にする必要がある. また現在,可変長振り子の振動制御の実験機器を製作中であり,今後本研究で得られた設計法の有効性を検討する予定である.
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