研究概要 |
一般に機械による騒音問題は,騒音レベルの増減としてとらえられがちであるが,それだけにとどまらず,日常の生活において情報伝達を行う際の音響品質の低下や,個人の生活感情にそぐわない音の強制といったコミュニケーションを阻害する様々な状況を引き起こしている.また,音環境を考える上で重要な要素である人の耳の能力は,機械に置き換えることが困難な程優れていると言われているが,人の環境に対する関心の持ち方に大きく左右される. そこで本研究は,環境に応じて必要な音や,望ましい音の特徴を調べることを目的とする.具体的には,環境に対する音の相応性,空調機の室外機の音質分析,および対象音源の音質評価の3つの観点から研究を行った.まず,様々な環境に対する音の相応性をアンケートを通して調査し,どのような音が不快にあるいは心地よく聞こえるかを示し.つぎに,その結果を踏まえて,空調機の室外機騒音を例に取り,人の聴覚特性である臨界帯域幅を考慮した周波数分析を行い,因子分析法による音質評価と比較した.その結果,定常音の調和を調べる上で,臨界帯域幅を考慮した純音度レベルによる評価の有用性を示した. 今後さらにこの研究を発展させ,機械騒音の音質改善を行う際の指標となる評価方法を確立することを試みる.
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