研究概要 |
本研究では、遺伝アルゴリズムによる自律分散型診断システムの基本的なコンセプトを実証するための環境の整備を目的として研究を行った。当初の予定では、Remote Procedure C allと呼ばれるUNIXにおける標準的な通信手段を用いて複数の計算機の間の協調的動作を実現させる予定であった。しかしながら、近年のネットワークの急速な拡大に伴い、診断エージェントを実装する際に用いるべき言語として望ましい特徴を有する新しい言語“JAVA"が利用可能な状況になってきた。このような技術動向の変化を反映させて、今年度は“JAVA"の実行環境を整備し、自律分散型診断システムへの適用可能性についての検討を行うこととした。 JAVAはSun Micro Systems社によって開発されたオブジェクト指向言語であり、次のような特徴を持っている。 1.完全なオブジェクト指向言語であり対象の効率的なモデル化が可能 2.マシンアーキテクチャに依存しないプログラム開発が可能 3.安定性が高い 4.マルチスレッドに対応 この中で、特に2,3,4の特徴が、ネットワーク上の診断エージェントの実装には有利な特徴であろうと思われる。 補助金により購入したワークステーション(JS/5 Sun Sparc互換機)上に、Java Development Kitを実際に実装し、その動作の確認を行った。Sun Sparc互換機上で開発したJAVAプログラムモジュール(Appletと呼ばれる)は他のマシン(HP-Apolo,Windows95等)でも実行可能であることを確認した。 以上述べたように、JAVAはネットワーク上の診断エージェント実装のための言語としては高い可能性を有していることが確認できた。
|