平成7年度の一年間を旦って、研究課題について以下の方面で研究を行ってきた。 (1)知的構造物の概念: 知的構造物は、単なるロボット工学の構造物分野での延長であるか、即ち知的人工物世界に於いて知的構造物が如何に位置付けるか、と言う問題に対して、生物における適応性、知能性の本質への検討から様々な考査をしてきた。そこで、構造物が支持物としての基本で、生物の適応性を構造物に持ち込むことが肝要であると明確に提案し、その上で、構造物が適応性を提供するために必要となる運動制御の基本タスクをも定義した。また、自律分散制御がその適応性を支持する適当な方法であると示唆した。 (2)オブジェクト指向に基づいた知的構造物の運動制御知識ベースの構築 知的構造物の運動能力を如何にオブジェクト指向のベースで表すかについて、申請者が既に提出した3次元可変形状トラスの運動学モデルを用い、そのオブジェンクト指向の運動能力知識ベースの構築を試した。ワークステーション上でそのシミュレーションを開発した。 (3)エージェントの概念の導入による自律分散システムのモデム化及び構築 知的構造物の自律分散制御システムの構築に際しては、先ず自律分散システムが如何にモデル化されるかは解決しなければならない問題である。申請者はオブジェクト指向のもとで、知的構造物を構成するユニット群を分散的知識ベースを見なし、エージェントの概念を導入した。また、エージェントを用い自律分散システムの構築方法を提案した。一方、自律分散システムを構築する基盤である自律分散ネットワーク、通信技術にも手がけて、その構築支援システムを開発した。
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