太陽電池の大規模実用化に向けて、低コスト、高効率を有する材料、製作技術の研究開発が必要である。この要求に応じて、a-Si/poly-Siタンデム太陽電池が提案され、太陽光発電の応用への有力な候補であることが明らかになった。プラズマCVD法を用いて低温、しかも簡易な製造プロセスでa-Si上部、poly-Si下部セルをそれぞれに形成、タンデム型に接続した太陽電池について、一連の最適化を行った結果、21%の変換効率が得られている。しかし、poly-Si下部セルにおいて、開放電圧はまだ十分最適化されていないため、開放電圧の改善を目指して、μc-SiC窓層とpoly-Siの界面に注目し、バッファー層の最適化検討を行った。その結果、RF PCVDによって成膜した微結晶シリコンが最適なバッファー層材料であることを見いだした。開放電圧は0.2Vの増加を得た。また、表面にテクスチャ加工をすることによって、光電流は約2mA/cm^2の増加が見られた。さらに、このセル構造を本格的な薄膜ポリシリコン太陽電池への応用するため、この薄膜の形成技術を開発しなければならない。そこで、まず、ECR CVD法によりa-Siを成膜し、熱アニールにより、結晶成長させた薄膜の結晶性を評価した結果、基板上にコートされた薄いAl(100nm程度)は結晶化における有効な媒体であることを明らかにした。この基板における薄膜の結晶成長は500度の低温から生じることが分かった。また、Alコートをしない場合はa-Siからの結晶成長は700度以上が必要であることが判明した。
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