本研究は、電流容量の少ない高温超伝導線を多本数使用した大電流化導体を構成する際の各導体間の電流分流計測手法の開発を目的とした。電流分流を被接触にて測定するため、電流によって生成される磁場分布を測定する事とし、助成金にて購入したデータ記録装置を既設の計算機に接続して、発生磁場空間的分布および時間変化を数値計算した。その結果、電流分流の時間変化は数10秒以上の時定数で生じ、定常的な電流分流計測のためには直流磁場測定を使用する必要がある事、空間分解能を確保するには磁路形成による磁束の干渉除去が有効である事が示された。以上の結果及び、被測定線の物理形状の制約から、超伝導集合体内に挿入される部分の体積を低く抑える必要があり、アモルファス磁性薄膜による磁路を使用して外部に導かれた磁束をホールセンサにより検出する構成を検討した。実験に必要なアモルファス材料、ホールセンサに関して市販品を調査したところ、アモルファス材では磁路構成に有利な高透磁率材では最大磁束密度が低く、外部磁場の影響を受け易い事、極低温の動作が保証されているホールセンサは磁束感度が低くいことが明らかになった。このため、助成金により、超高透磁率低磁束密度及び高透磁率高磁束密度の2種類の磁性薄膜、極低温保証低感度および室温使用高感度の2種のホールセンサを購入し、それらの組み合わせで4種類のセンサを構成し実験する事とした。同時に、低温実験に必要な組立治具を購入し実験準備を整えた。実際の分流測定試験は、本年度購入物品および核融合科学研究所の極低温試験装置を利用して8年度に実施する予定である。
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