研究課題/領域番号 |
07750340
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
土屋 昌弘 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50183869)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 共鳴トンネル現象 / 半導体量子構造 / 分子線エピタキシ- / 界面凹凸 / 弾性散乱 / ボルン近似 / アイランドサイズ |
研究概要 |
二重障壁共鳴トンネルダイオードの電流電圧特性の共鳴電流領域を低温で詳細に調べると(電流電圧特性の電圧による2階微分の電圧依存性)、共鳴エネルギー準位の広がりの定量的分析が可能であることを従来より筆者等は指摘していた。昨年度までの実験的研究の成果によって、(1)そのエネルギー広がりが理想的二重障壁共鳴トンネル構造モデルのエネルギー幅と比較して数百倍程度大きく、(2)障壁・井戸層の界面作製条件(界面での成長中断プロセスの有無)に依存する、こと等が判明していた。その延長線上の今年度の実験的研究により、(3)広がりの程度が電流方向依存性を有すること、(4)共鳴トンネル電流の最大値に対するプロットによって構造パラメータのばらつきを排除した比較ができること、(5)広がりの度合いが構造パラメータ依存性を有すること、等が新たに明らかになった。これらの実験結果を基に、散乱機構に対してモデルを構築し数値的シュミレーションを行った。その際、界面に存在する原子層オーダの凹凸が散乱子となる弾性散乱を取り上げ、量子井戸の二つの界面の片側だけに散乱子が存在すると仮定した。また、ボルン近似の下で算出した散乱強度にその結果として定まるエネルギー幅を状態密度を介して帰還させるセルフコンシステント・ボルン近似法を用いた。結果から「界面凹凸の横方向の広がり(アイランド寸法)の増大とともにエネルギー広がりが増大する」という常識的直感には反する結論が引き出されたが、実は、これは上記の実験結果に支持される。定量的にも、計算で求めた広がりの変化量が分子線エピタキシ-結晶成長の中断によって生ずるアイランド寸法の変化量に対して一致を示した。加えて、1次元のポアソン方程式とシュレディンガー方程式を連立して解く方法によって散乱因子のポテンシャル高さの電流方向依存性を精密に求めたが、驚くべきことに、ここでも計算結果は実験結果との一致を示した。これらの結果から、共鳴準位の広がりの一部はALAs-on-GaAs界面の原子層オーダの凹凸による擬3次元的な弾性散乱が寄与していると断言して良いことが判明した。
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