研究概要 |
本研究ではまず,Ga_2Se_3薄膜の抵抗率の評価を行った.その結果,室温における抵抗率は1x10^<-12>S/cm以上と非常に高抵抗であることが明らかとなった.このことからGa_2Se_3薄膜が絶縁膜として有効であることがわかる.また,抵抗率の温度依存性を測定したところ,活性化エネルギー約1.05eVが得られ,報告されているバンドギャップ2.leVの1/2と良く一致した. 次にGa_2Se_3薄膜の伝導率制御を行うために,Znド-ピングを試みた.その結果,Znを高濃度にド-ピングしてもGa_2Se_3薄膜は高抵抗であり,伝導率制御は困難であることが明らかとなった.また,ラマン散乱分光法による測定から,Znを高濃度にド-ピングした場合にはZnGa_2Se_4という化合物が形成されていることが明らかとなった.このことから,Znをド-ピングするとGaと置換するが,電荷の中性を保つためにガリウム空孔が増減するという自己補償効果により低抵抗なGa_2Se_3が得られないものと考えられる.欠損性閃亜鉛鉱構造を有するIII-VI族化合物半導体のバルクの研究においても,10%程度まで高濃度ド-ピングしても高抵抗であるという報告がなされており,この系の化合物半導体は伝導率制御は困難であると考えられる.このことは絶縁物として応用する場合には有効であると考えられる. さらに,金属(Al)/Ga_2Se_3/p^+-(001)GaAsというMIS型構造を作製し,C-V測定を行った,Ga_2Se_3層の膜厚依存性より,Ga_2Se_3の比誘電率は約9であるという結果を得た.
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