イットリウムシリサイド形成のアニール温度の最適条件を求めるために、(111)結晶シリコンおよびアモルファスシリコンに金属イットリウムを蒸着し、アニール温度をパラメータとして作製した。作製したイットリウムシリサイドの構造や電気的特性を評価するため、X線回折による結晶構造解析、XPSによるイットリウム、シリコン、酸素などの原子の深さ方向プロファイル測定、電流-電圧測定を行い、以下の結論を得た。 1)Si(111)面上では約300℃を越えるアニール温度でイットリウムダイシリサイドが形成され始め、n形シリコンとのショットキー障壁高さは低くなる。 2)Si(111)面上では450℃以上のアニール温度ではシリサイドの酸化が進行し、障壁高さの増大とon電流の低下をもたらす。 3)n形a-Si上では300℃以上のアニール温度で種々のシリサイドが形成され、400℃のアニール温度で最も良好なオーミック特性を示す。 4)結晶Siに比べa-Siではアニール温度が400℃以上でもシリサイドの酸化が進まない。 また、実際にガラス基板上にpoly-Siを用い以上のプロセスで作製したソース・ドレインにショットキー障壁を持つTFTを形成し、その特性を評価した。その結果、通常のTFTに近い特性を持つ持つものが得られた。
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