研究概要 |
1.ニューラルネットを用いたトラヒック推定システムの構築 検討の結果,シェ-ピングに必要な規律を抽出するニューラルネットワークをとしてフィードフォワード型多層パーセプトロンを使用し,入力として,過去k区間の回線への到着セル数をとり,出力として,次の区間でのセル到着数を出力するものとした。ニューラルネットワークの学習に関しては,誤差逆伝搬則を用いた通常の収束学習ではなく,最近の予測値と実測値との誤差を毎時点で1回のみ行うこととした。これにより,曖昧な実測値を教師値とすることに対する柔軟性の向上を図っている。 2.ニューラルネットを用いたトラヒック平滑化システムの構築 ニューラルの予測値を用いて強制的にシェ-ピングレートを設定すると,予測値に反してバースト的なセル到着が起こった場合に大量のセル廃棄が起こる。これに対し,過度のシェ-ピングを行わないよう,高負荷域ではシェ-ピングを行わないこととし,低負荷域では,長期にわたるセル送出規制による遅延劣化を予防するため,最低保証レートを規定することとした。さらに,バッファにしきい値を設け,滞留セル数がしきい値を越えると強制シェ-ピングはキャンセルされることとした。 3.アプリケーションを指向した制御システムの構築と性能評価 1.,2.で提示した本システムの有効性を評価するため,それぞれ符号化映像トラヒック,LANトラヒックをトラヒック源として仮定し,実際の通信網を意識した2段ノード接続環境で計算機シミュレーションを行った結果,各交換ノードで本制御を実装することにより,無制御の場合と比べて,特に低中負荷域で大幅に網全体のセル廃棄率特性が改善され,遅延に関しても,パラメータ設定によりかなり小さい時間以内に押さえられることが明らかとなった。本制御の効果は,特にトラヒックのバーストの強さにより異なり,バッファで吸収できる範囲の短期間のバーストに対しては特に有効であることもわかった。
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