高電界を印加することにより第2高調波を発する石英ガラスを利用することで将来実用化されるであろう光コンピュータのメモリーを作成することができる。この現象には欠陥が関与しており、欠陥の役割が解明されれば、高性能の光メモリーを酸化シリコンのみから作ることができる。今回、その基礎実験として以下のことをおこなった。 1、SHG相の生成及び消去 直径20mm、厚さ1.2mmの溶融石英ガラスに260℃で4.8kVの電界を20分間印加すると、肉眼でも検知できる強いSHG信号を検出された。次に260℃で20分間放置するとSHG信号は完全に消去された。 2、SHG信号強度の印加電圧、温度依存性 印加電圧を変化させると、1kVまではSHG信号が検出されなかったので敷居値があることがわかった。また電圧に対してSHG信号は比例的に増加した。また温度を変化させると、100℃でSHG信号は検出された。これよりSHG相を生成する不純物が100℃で移動することがわかった。また260℃までほぼ比例的にSHG信号は増加していた。 3、X線照射によって導入された欠陥とSHG相との相関 そのままではSHG相が生成されない合成石英ガラスにCuKα線を照射すると溶融石英ガラス並のSHG信号を検出した。他の研究者らの報告と併せて判断するに酸化シリコンのSi-O-SiがX線により切断されSi-O・が生成されるためSHG相が生成されることがわかった。これよりX線と干渉マスクを使用することで酸化シリコン上に微細なSHG相のパターンを作成できる。 以上より石英ガラスの非線形光学相を利用した光メモリーを開発するためのデータが得られた。
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